絵を描いている時に思っていること

お早うございます。

 

今日は6月16日の日曜日。

時間は6時です。

夜に降っていた雨は止み、空はグレーのくもり空です。

雨上がりなので、若干ですが湿気を感じて蒸し暑いです。

6月も中旬ですので、もう梅雨になってもいいのですが、今年は梅雨入りが遅れているようです。

来月の7月1日で、定年から4年が経ちました。

早いですね。そして、マンション管理員に着任して2年が過ぎようとしています。

定年で会社を辞めた時は、これからの時間をどうやって過ごそうかと考え、若干の焦りと不安がありました。

ずっと自宅にいるのは嫌だったので、実益も兼ねてアルバイトをするつもりでしたが、半年くらいはアルバイトも長続きしませんでした。

働いてはみるのですが、どうにもしっくりこなくて、短ければ1週間くらいで辞めてしまいました。

そんなことを繰り返していましたから、益々不安と焦りが募りました。

しかし、その後は障害者支援施設で1年6か月間の勤務が出来、その後、現在のマンション管理員として勤務を始めたのです。

 

40年近く働いてきた業界から身を引いて、新しい業界へと転職することは、かなり難しいということを実感しました。

今迄、私が貯えてきたスキルや知識、業界の特性が全く通じないのです。

私は、定年まで広告関連業界で働いていましたので、何もない所から企画を立て、クライアントのニーズやウォンツを引き出して、形にする仕事をしていました。

しかも、時間はかなりタイトで、常に業務に追われる仕事だったのです。

いまでいう「ブラック業界」ですね。残業なんて当たり前だし休日出勤も当然。

自分の時間を持つことなんて考えられない業界でした。

クライアントの要望にかなった企画が出来、効果のある制作物(映像だったり、印刷物等)が出来て当たり前。

効果が出なければ、クライアントからクレームと取引取り消しの制裁を受けることもありました。

今、考えると、よくそんな業界で40年も働いて来たものだと感心します。

 

今の管理員の業務は、決まった作業(日常清掃等)を決まった時間でこなし、あとは居住者様の要望のヒアリング(世間話です)を受け、メンテナンス業者の対応などだけですので、時間に余裕もありますし、クレーム等は滅多にありません。

しいて言えば、ゴミに関するクレームや相談位です。

私にとっては、とても有難いお仕事です。

 

で、趣味で絵を描くことを始めたのですが、今日は、絵を描いているときに考えていることを書きとめておきたいと思います。

 

絵を描こうと思ったきっかけは、以前にも書いたかもしれませんが、現役の頃に塗り絵のセットを販売する企画を考えました。

まだ、世の中に「大人の塗り絵」が存在していなかった時代でした。

当時の社長が若かった頃、絵を描きたいと思っていたらしいのですが、どうしても写生に行く時間も取れず、絵を描く事が出来なかったそうです。また、多くの方は下絵を描く事がうまくいかなくて絵を描くことを断念してしまうとの情報も入手したのです。

で、私は下絵と仕上がりイメージ、さらに塗り方を1冊の書籍にまとめ、さらに、最低限の絵の具や筆などもセットにしたエントリーブックを作る事を考えました。

ある方を通じ、東京芸術大学の教授を紹介して頂き、企画の主旨を説明して、賛同を頂き教授のゼミに参加している学生さんにお力添えを頂き、水彩塗り絵セットを企画販売する事にしたのです。

私は企画から商品作成までに参加し、実務は社長の娘さんが別法人を立ち上げて販売活動をする事にしました。

その時、試作で作った水彩塗り絵セットが、手も付けずに手元にあったので、定年になって時間も出来たので、やってみようと思い始めたのがキッカケです。

 

水彩画なんてものは、小学校以来描いていませんでしたので、うまく塗る事が出来なくて、塗り絵でも難しい物だと思い、色鉛筆で塗り絵を始めてみました。

すると、思ったように色を塗ることができ、自画自賛で満足のいく作品が出来るようになりました。

ですが、人の描いた下絵に色を塗るだけでは満足できなくなり、自分で写真を撮ってきて、

プリンターでプリントアウトして、下絵を描くようになりました。

最初はうまく描くことが出来ず、絵が歪んだようになってしまったのです。

YouTubeを閲覧して、上手に下絵を描く方法とか、リアルに塗り絵を仕上げる方法の動画を観て、プリントと絵を描く画用紙に同じ大きさのマス目を描いて、マス目の中の位置を決めながら描くと、デッサン力が無くても絵が歪まないと知り、その通りに描いてみました。

ですが、どうもうまくいきませんでした。

出来ないと悔しい思いが体中に沸き出し、出来るようになるまで練習しようと思い、100円ショップで、リング式のスケッチブックを購入し、色鉛筆や消しゴムなども揃え、通勤途中に咲いている花を見つけると写真を撮り、自宅へ帰ってプリントアウトして、鉛筆でマス目を作ってスケッチブックに描きました。

人間は同じことを繰り返すと出来るようになるもので、少しずつ、狂いの少ない下絵が描けるようになりました。

暫くの間は、色鉛筆で色を付けていたのですが、やはり水彩画が描きたくなり、描いた下絵に水彩で着色を始めるようになりました。

すると、途端に折角、それなりに描けた(上手に描けたと思いたいのですが、少し謙遜して)下絵を活かせるような着彩が出来なかったのです。

で、また、YouTubeで沢山の方の動画を観て、着彩の参考にさせて頂きました。

最初の頃は、自分が好きになった画風の方の描き方を真似て、着彩をしていたのですが、段々と欲が出てきまして、全く違う描き方をされている方の描き方を真似て描くこともするようになりました。

 

私が好む絵は、ある程度リアリティーを持った絵ですので、筆跡を残さないような水を使ってぼかしながら描く技法を選びました。

花弁の微妙な色の変化や、葉っぱの葉脈をしっかりと表現するような絵です。

プリントアウトした絵を写すような写真的な絵を描きたいと思っていたのです。

しかし、実際に仕上がった絵を見ると、理想の絵とは大きな違いがあります。

当たり前ですよね。比較するのは、プリンターで出力された画像なのですから、同じように描けるはずがありません。

また、そんな絵が描けたらプロになれますよ。(スーパーリアリズムという表現の作風ですね)

色鉛筆で描かれる方でも、写真そっくりに描かれる方はいらっしゃいます。

素晴らしいなと思います。

しかし、私が描きたい絵は、ちょっと違うのかなとも思っています。

というように、いつも描きあがった絵を見て、何かが違うと思ってしまい、描きあがると、また新しい絵を描こうと思ってしまいます。

そして、今度こそ自分の目指している絵に少しでも近い絵が描けるようになりたいと思ってしまうのです。

 

描いているモチーフによっては、描き始めて、最初の着彩をしている時に、「ああ、駄目だ。こんな塗り方では、絵が死んでしまう」と思い、諦めてしまう事もあります。

その時は、描くのを止めてしまいます。

「なんで、こんな筆の使い方をしたんだろう。これでは理想の絵とは全然違ってしまう」

そう思って、翌日まで絵を乾かしておきます。

すると、「じゃあ、今回の絵はこんな筆のタッチで描いてみよう」と思い、近いタッチで描かれている方のYouTubeの動画を観て、描き進めることになります。

このブログに貼りました薔薇(見えないかな)の絵(上段の赤い花の絵)がそうです。

途中で嫌になってしまし、描くのを止めようかなと思ってしまいました。

朝日を浴びて、明るい所と暗い所のコントラストがはっきりした写真になってしまったので、明暗をはっきりさせたいと思って描いたのですが、葉っぱや花弁の細かいディティールより、薔薇の力強さや色の濃淡で光を表現したくなり、筆をスピーディーに走らせました。

 

下に紫陽花に絵は、自宅の玄関脇にプランターで咲いていた紫陽花なのですが、咲き始めは真っ白な花が段々とブルーに変化してきたので、面白いなと思い描きました。

出来るだけ、花弁や葉っぱの表現を繊細に書き上げたいと思い、丁寧に表脈を表現し、花の明暗と微妙な色の変化を描いてみました。

背景はフェンスがあり、うるさかったので濃淡だけで表現して、紫陽花の花と葉っぱを強調しました。

絵は、必要ないものは描かなければいいので、描きたいものをクローズアップ出来るのがいいですね。

 

多分、絵を描かれる方の多くの方が、絵を描かれている時に、その絵に込める思いを強く持って描かれていると思っています。

私は色々な表現方法を習得し、その絵のモチーフの魅力を最大限に引き出せる絵を描くことができるようになりたいと思っております。

 

薔薇を描いてみました。かなり暗い写真でしたので薔薇の花を強調するような描き方をしてみました。不透明の白絵具を使い、ハイライトを強調させています。かなり荒い筆使いで描いたので、途中で描くのを躊躇した作品です。

 

上の薔薇の絵とは描き方を変えてみました。背景の不要な描写はせずに、紫陽花1輪を描きました。葉っぱや花弁の微妙な色の変化を出来るだけリアルに描こうとしました。また、葉っぱの上下の関係などにも気を使い、立体感が出せるようにも注意しました。