お早うございます。
今日は3月10日の日曜日です。
時間は4時40分。
3月は2回の公演が予定されていますが、昨日、最初の公演が終了しました。
昨日の公演には約40人程のお客様がご来場され、2つの演目を約1時間弱でご覧になって頂きました。
私たちの劇団は、地域に根ざしたシニア劇団ですので、入場料を頂くことなくご来場頂き、私達の演技を楽しんで頂くのが趣旨です。
コロナ禍以前は15人の団員が所属していたのですが、コロナ禍により半分以上の団員が活動を辞めてしまい(休眠状態)、また年齢を理由に退団してしまい、今では9人で活動をしています。
平均年齢は60代中盤ではないかと思います。
男性団員は3名で、7人が女性です。
随時、団員を募集しているのですが、演劇をやりたいと思って見学に来られても、入会までには至らない方が殆どです。
過去に演劇を経験されている方であれば、さほど抵抗はないのかと思いますが、一度も演劇をされた方が無い方には、難しく感じてしまうのかも知れません。
特に男性の方は、やってみたいと思って見学に来られ、その後、何度か来られるのですが、いざ本読み(演目になる台本を読み合わせること)を始めると、躊躇されてしまう方が多いです。
何故、男性が続かないのかを私なりに推測すると、演出をする方が女性なんです。
まず、女性に駄目出しをされるのが嫌なんではないでしょうか。
今迄、会社なり自宅で、女性から自分の行動を否定されるということがあまりなかったのに、台本を読んで「その台詞のイメージを思いながら読んでください」なんて、みんなの前で言われたら、自分が全否定されたような心境になり、「あ、俺には向いていない。」って思ってしまうのではないかと思います。
演劇では、演目が決まっても配役はきまりません。
配役を決めるのは演出を担当する団員(この方は団員といっても指導者的な存在です)
なんですが、演出は自分では演目に参加しません。
ひたすら、演技指導や舞台演出を担当する、舞台監督としての存在です。
ですので、演目を決めるのも演出の役割ですが、演目を決めた時に配役まで決めている訳ではないのです(多分、おおよその配役は決めていると思いますが)。
なので、演目が決まり台本が出来ると、所属している団員で本読みを行います。
団員は、台本を読むことで、台本の内容を把握して、自分なりに台本の内容や登場人物のイメージを想像します。
この台詞はどんな心境で語っているのだろう。
このシーンはどんなシチュエーションなんだろうというように。
しかし、初めて台本を渡されて本読みをやると、普通に文字を追ってしまい、棒読みになってしまいます。
学校で先生に指名されて、教科書を読むような読み方を想像してください。
こうなるのは仕方ないのですが、演出は声の出し方なども意識しているのです。
特に初めて本読みをされる方に、感情をこめて台詞を言えと言っても無理なのは解っているので、滑舌を良くして、通りの良い声で読むことを求めてしまうのです。
しかし、最初に本読みをする方は、そのような注意(演劇をする人たちは駄目出しと呼んでいます)を受けると、全否定されたように受け取ってしまうようです。
その気持ちはよく解ります。
演劇に興味があり、本読みの意味が解っている方なら、本読みで演出が何を見ているのか、自分が何のために本読みをするのかが解りますから、演出の駄目出しを素直に聞くことができるのですが、真向から否定(否定はしていないのですが)されても、今後の配役の決定や場面の情景をイメージするために言われていると思えないようです。
その感情が「続けられない」という結論を出すことになってしまうようです。
だって、趣味で演劇をやろうかなって思って、軽い気持ちで見学に来て、数回通ったときに、「もっと声を張って」なんて、注意されたら嫌になってしまいますよ。
なので、男性の志望者が続く事が少ないのだと思っているのです。
以前にも書きましたが、私は40代の頃にお金を頂戴して演劇を見て頂く劇団に所属していたので、演出の厳しさは知っていましたし、その時も、お金を払って見てもらうのだから、中途半端な演技はできないと、劇団の方に言われました。
そんな下地があったので、言われる事が自分の演技に糧になると思えるのです。
また、演劇の稽古と言うのは地味なんです。
何度も同じシーンを繰り返し練習し、同じような駄目出しをされるのです。
時には、演出の無茶ブリというわがままかイジメか解らないような指示も飛びます。
正直、稽古は面白くないんですよ。しかし、演出の指示と自分の演技のイメージがかみ合い、納得のいく演技が出来た時は、とても嬉しく充実した気持ちになります。
そして、公演の本番の時はアドレナリンが出るため、気持ちが軽い興奮状態になります。
今回の演目では、1本目は大店の隠居の役、2本目は30代で貧乏から這い出し1代で登りつめた男の役でした。
続けての公演なので、観客からは同じ人間が演技をしているので、どのように演じれば別人格を演じることが出来るかが課題でした。
さらに、一人芝居もあり、一人芝居の時は台詞がありません。その一人芝居の時は幼少時代の回想シーンになります。
衣装も同じなので、どれだけ演じ分けが出来るかで、観客の気持ちを引き付けることが出来るかが決まります。
そして、私の演じる人物は劇の途中で今までの行いを改心して演技を終えるという役です。
その心境の変化もしっかりと演じなければなりませんでした。
今回の演目では、演出は細かい指示をしてくれませんでした。
自分で考えて演じることを要求されたのです。
なので、一人芝居の時の振りを大きくするとか、舞台に居る他の演者と被らないように演じる場所を確認するなど、大まかな事だけを注意されただけでした。
私は台本を何度も読み直しました。
自分の出ている場面の全ての台詞が暗記できるほど読み込みました。
テレビドラマも見て、役者の表情や手足の動かし方、感情によって話す言葉の強弱や速さなども研究しました。
ドラマをこんな風に見たのは初めてでした。
その成果はあって、昨日の公演での観客の反響はまずまずでした。
が、今月末にも同じ演目で公演があります。
その時の場所は500人が入ることが出来る大きな会場です。
プロも公演を行えるような舞台ですので、声の出し方や演技も大きくしないと観客に届きません。
次の公演までに、昨日の公演での演技を見直して、より質の高い演技が出来るように稽古をしたいと思います。